「飯地の“こんにゃく”話。」~飯地小学校のオンライン学習にて。

「飯地町の“こんにゃく”話。」

 

一般的に『こんにゃく』というと、田楽やおでんに入っているのは、四角いカタチです。

 

けれど、こちらの地方で、寒い時期になるとおばあちゃんたちがつくる“こんにゃく”は、楕円形の手のひらサイズ。

こんにゃく芋からの手作り“こんにゃく”です。

ざっと作り方は、こんにゃく芋を茹でて、ミキサーなどにかけて、そこに藁炭のアクや、炭酸などをいれて固めて、丸めていきます。

 

※“こんにゃく”の作り方はいろいろな方法があるのでまた別の記事にてご紹介します。

 

出来たての“こんにゃく”をしばらく水にさらしてから、

うす~く切って、お刺身のように生姜しょう油につけていただくと最高!!です。

 

 

絶品の“さしみこんにゃく”。かつお節をかけて、しょうが醤油で。

 

 

さて、今年度『飯地小学校』の3・4年生の子どもたちが、総合学習の授業にて、“こんにゃく”作りを、地域の方に教わるそうです。

小学校の畑に、こんにゃく芋のタネを植え、こんにゃく芋を作るところから始めるとのこと!です。

 

第1回目の“こんにゃく”の授業は、コロナウイルスの関係で、オンライン授業でおこなわれました。

“こんにゃく作り”の講師の方は、飯地町の物知りおじさんの「山口さん」です。

 

 

オンライン授業にて。講師の「山口さん」。飯地町地歌舞伎の名手でもあります。

 

 

ここより、山口さんの“飯地町のこんにゃく”談です。

 

ー「飯地で育った“こんにゃく”はものすごく粘りがあって美味しい。と昔から評判が良かった。」

ー「飯地でもほうぼうで(色んなところで)作られた。栽培というより、自然の所で生えていた。桑畑や、茶畑の片隅に生えていた。」

ー「これが、生子。(きご)こんにゃくのあかちゃん。」

 

 

 

こんにゃく芋の生子。赤ちゃん。

 

 

ー「その後、1年いも、2年いもになる。」

ー「“こんにゃく芋”が育つのに、3年から5年かかる。」

ー「“こんにゃく芋”はやっと、3~4年で収穫できる。」

ー「5年くらい経つと“こんにゃく芋”の珍しい花が咲く。」

 

 

収穫したこんにゃく芋。3~4年経ったもの。

 

 

“こんにゃく”の花。珍しい、不思議な花。匂いはあまりよくないそう。

 

 

ー「やがて、こんな姿になる。マルチはいらない。秋ごろまでに大きくなる。」

 

 

大きくなったこんにゃく芋の葉っぱ。

 

 

 

そこから「山口さん」の話は、戦争時代の話にも。

 

ー「そして昔、アメリカと戦争したときに、風船爆弾を作った。風船は和紙。それを何枚か張り合わせて10m位の風船をつくって、下に爆弾をつけた。その時、和紙を何枚も張り合わせるときに、全国で“こんにゃく芋”をあつめて糊にした。その時に“飯地のこんにゃく”は粘りがあってとても良いと有名になった。」

 

 

 

 

 

 

ー「戦争がおわってしばらくしてから、飯地のこんにゃくを栽培して、たくさん作ってお金にしようという話があがった。畑に肥料をたくさんいれて、種イモもほかからたくさん持ってきて作ったら、病気がどんとん増えて、腐って全滅してしまった。」

ー「3、4年つくってみたが、化学肥料が強すぎたり、ほかから種をもってきたので、飯地の土地にあわなかった。」

ー「それでも全滅といっても、昔からのなごりで、桑畑に生えていた。それで家庭用にこんにゃくを作った。」

 

 

 

そして、今後の小学校での栽培については、

ー「種まきは、校長先生と先に行ったので、また一緒に管理をしていこう。」

ー「雑草をとらないと、負けてしまうから、草取りをしよう。あとは、敷き藁をしよう。」

ー「こんにゃくは、あまり触らない。デリケートな作物。」

 

 

こんにゃく芋の栽培から、手作りのこんにゃくの過程を知ると、あらためて「田舎の手作りこんにゃく」は高級食材だと、感じさせられます。

 

 

ー「昔は、“こんにゃく”というのは、祝言の時、お葬式、法事のときには必ず作って振る舞われていた。昔は値段も高く売れていたが、外国などから、安い芋や、こんにゃくがはいってきて、価格が安くなってしまった。」

ー「こんにゃくというのは栄養というより、昔は、最後に食べて体の毒を消す。今ではダイエット食品、セラミドという成分が美肌にもよい。」

ー「飯地町は、地歌舞伎もそうだけれど、伝統的な文化がのこっている。」

 

 

 

古く飯地町に伝わる、「飯地音頭」の中にも、「こんにゃく、宝いも~」のフレーズがはいっており、かかせない伝統食だったことが伺えます。

 

 

 

古くからつたわる、飯地音頭。お祭りなどで踊られます。

 

 

そして、子どもたちに感想をきくと。

「こんにゃくの花が綺麗な色になるとは思わなかった。」
「こんにゃくが、ちいさい芽から大きくなるのがしらなかった。」
「こんにゃく芋は、5年くらいたつと花が咲くことがびっくりしました。」

と勉強になったようです。

 

 

ちなみに「こんにゃく、こんや(今夜)くう?」で、お昼間は食べられないとのこと。(山口さんのギャグつきです。)

 

この「飯地町ののこんにゃく」は、『飯地特産品部会』の“ふるさとギフト”で買うことができますよ。

 

 

「飯地のこんにゃく」(右下)。刺身こんにゃくでどうぞ。

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