『100本の花桃が咲き誇る、思い出のお庭へ』
穏やかな春の日。
町内で「花桃の木」をたくさん植えてみえるお家の「お花」が見ごろとのお話を聞き、少し庭先を訪ねさせていただきました。
県道から少し道を下っていくと、見事な田園風景が広がり、屋敷につながる両側の道沿いにずっと続くように、桜や花桃が植えてありました。
花桃は、そこから見下ろしたずっと先の田んぼのしたの景色をぐるっと囲むように植えられ、「花桃」の赤や白、ピングが、入り交じって咲き誇る様は、まるで『桃源郷』のようです。
「花桃は木によって、白やピンクが自然に交ざります」
「屋敷の周りには、100本近くの花桃が植えられています。まだまだ苗木もあるが、全部咲いたら楽しみと主の盛重さん」
この花桃を植えられたのは、このお屋敷の主の盛重さん。
お花が大好きだった、今は亡き奥様のちさゑさんとお二人で、たくさんのお花を植えられて、大事に手入れされてきたそうです。
お屋敷の前のお庭には、花木の他にも、至るところにたくさんのお花が咲いていました。
手づくりの木の支えに樹形が横に広がるように這わせてあるフジ、大きく育ったクリスマスローズ、株をわけながら立派な葉をつけたナルコユリ、支柱に誘引された多種類のクレマチスなど。
たくさんの愛情をかけて大切にされてきた場所だということが、訪れた私たちにも伝わってきます。
「これは、藤だよ。いま芽がでているから、もうすこししたら咲くね」
「お母さんが植えたから、花の名前はわからないけど、だんだん株が増えてきたね」
「このカタクリは、最初は少しだったけど、毎年だんだんふえてきたんだよ。ここは場所があうのかな」
と盛重さんがおしえてくれます。
「カタクリの群生。葉っぱから最初に広がっていくそう。」
「カタクリの花。薄く紫がかった、美しい花びら。」
ご夫婦で、手間隙をかけて、長い間大切にしてみえた風景。
奥様が亡くなられた今も、そしてこの先もずっと、たくさんの思い出と共に美しい景色はずっと紡がれていきます。
飯地町の美しい場所にまたひとつで会うことができました。
「盛重さんと、妹の松枝さん。“このお花はねえさまが、植えたけど、こんなところまで、咲いてるね。”と笑顔で話す松枝さん。」
こちらの花桃を動画で撮影させていただいたものを飯地町公式Facebookにて掲載しています。
(取材日2020.4月/写真・文 平井はな恵)
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