【見どころ紹介】五毛座 地歌舞伎小屋(旧飯地公民館)

 

飯地には天保年間まで遡る地芝居の歴史があり、明治期には6つの集落がそれぞれの神社に拝殿型の舞台を備え、順番で地芝居を上演していました。やがて第2次世界大戦となり、いったん下火となるのですが、戦後の復興による地芝居復活の機運と、昭和20年代に各地で起こった公民館運動を背景に公民館兼地芝居小屋として、昭和26年(1951)飯地村に飯地公民館が建築されました。

その後、公民館は地元の青年の教育の場、保育園、また結婚式場としても使用されてきましたが、昭和58年(1983)に飯地公民館が新築されたため、旧公民館はその所在する自治会が「五毛(ごもう)」(地名は五明)という名であることから「五毛座」(ごもうざ)と命名され、歌舞伎(地芝居)専用の施設となりました。

この建物の主要な柱材は、村有林の中から選りすぐりの桧材(東濃桧)を使用してあり、建物は堅固を誇り今日まで勇姿を残しています。

また、名古屋の御園座(戦後の火災で消失前)をモデルに設計してあると言われ、本格的な「地芝居」の芝居小屋であると評価されています。

構造形式は木造桟瓦葺き地上2階地下1階、南面玄関ポーチ付きで、内部は両花道を備えた舞台や、約200名を収容するための客席として平土間、1階・2階桟敷席を設けています。

また、公民館機能を併せ持つ特徴として2階南面客席背後を集会所の和室とし、3室合計32畳からなる床・棚付きの大広間としています。

外部正面は、外壁を南京下見板張りとして、切妻屋根の棟端を小さく寄棟とした屋根や玄関ポーチの円盤型柱頭つきの円柱、当地方で「霧除け」と呼ばれる小庇につく軒天井など、随所に洋風の要素が見ることができます。

内部においては小屋組を洋小屋(キングポストトラフ)で組み、桟敷席の床を鉄パイプの支柱に洋風の繰型をつけた肘木で受けています。

五毛座では現在、「飯地五毛座歌舞伎保存会」が定期(隔年)上演や小中学生に地芝居の稽古の指導をし、敬老会にお披露目を行っています。

また、地元の集会などにも使用され、今なお民俗文化の伝承と交流の場であり続けています。尚、厨房については、この地域の特産物加工場として利用されています。

地下118.41㎡ 延床面積776.70㎡

1階466.18㎡ 建築面積476.28㎡

2階192.11㎡

・平成22年1月15日、国の登録有形文化財として登録される

・平成27年11月1日、恵那市景観重要建造物に指定される

この投稿へのトラックバック

トラックバックはありません。

トラックバック URL
< カテゴリーの一覧へ戻る